依存症治療に携わる看護師。2年半でマイナス14万円の競馬を、16日間セルフケアしてみる。

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__これは、競馬に費やす時間・お金・思考を削減し、仕事を軌道に乗せてがっぽがっぽのウハウハになり、家族に愛し続けてもらい、「人生飽きたわ〜!」と満足して死ぬまでの物語__

……と都合のいい脳内ナレーションを再生して、自分を鼓舞するところから始めよう。
願うだけならタダだ。
そんな都合のいい未来を想像しておかなければ、家事育児と仕事で息も絶え絶えだ。

誰しも一度はやったことがあるだろう。
脳内で壮大なBGMとナレーションが流れるやつ。

「そのおかげで今日もどうにか動けている」といっても過言ではない。
一方で、競馬で「根拠のない勝ち」を期待するような脳内回路まで育ってしまったのも確かである。

目次

自己紹介

30代、4歳娘と2歳息子の母。
同じく競馬がすきな夫と共働きをしている。

週の半分は、医療機関に勤める精神科看護師。
とりわけ依存症治療に力を注いでいる職場だ。

もう半分は、なかなか軌道に乗らない崖っぷちフリーランス。
家族と過ごす時間を増やすために、また書くことで生計を立てようと足掻いているが、文字通りの崖っぷちである。

今日はかろうじてカウンセリング依頼が一件入った。他は返信待ちでやることがないので、家事をして自尊心をなでてやっている。よ〜しよしよし。家事も立派だぞ〜。

これから競馬の話をするが、競馬の話というわけでもない。この時間を味わうのに、競馬がすきである必要はまったくない。

わたしの文章を読んだことがある人も、はじめての人も、誰ひとりとして置いていかないエッセイにするからね〜〜〜(と客席に手を振る)

「好き」と「依存」は何が違うのか

これは依存症治療の現場でよく聞かれる質問だ。
「どこからが依存症なんですか?」と。

専門的な診断基準ではなく、生活者として一つの目安を伝えるのならば、「他の大切なものを犠牲にしてでも続けたくなるかどうか」ということだ。

仕事、学校、家族、健康……
あなたの大切なものを思い浮かべていただき、それらより優先順位が上がりはじめたら、一度立ち止まってみるといい。

わたしはどうだろうか。
住宅ローンはあるが、個人的な借金はない。
生活は破綻しておらず、仕事にも通えている。
家族関係はすこぶる良好だ。

でも、疲れたら競馬。頑張る前に競馬。とにかく理由を探して競馬。
そういう回路は、もう十分に育っている。
運良く「まだ」生活が破綻していないだけで、依存度はすでに高いと感じている。

どのように競馬にハマったのか

お察しのとおり、わたしは競馬がすきだ。
正確には、馬券を買うことがすきだ。
競馬の歴史やストーリー自体に魅力を感じるのも確かだが、基本的には宝くじ感覚で購入することが多い。

家族と同じ誕生日の競走馬だから。
家族の名前が入った競走馬だから。
ネーミング由来がおもしろいから。
そんな理由で馬券を買う、いわゆるオカルト馬券師である。

初めて馬券を購入したのは、2021年12月26日。
第一子がお腹にいた。
休日に友人と複数人で遊んでいたところ、おもむろにスマホを開き、有馬記念の馬券購入をはじめる人がいた。

「100円から楽しめるよ」
「買いたい人いたら代わりにネット購入するよ」

そんな流れで、その場にいた者で賭けたい者は賭けることになった。ノリノリのわたし。こういうお祭りごとが大好物なのだ。

友人に「アサマさん」がいることから、奇しくも同じ名前のアサマノイタズラに単勝500円を賭ける。

結果は最下位。
「よりによって最下位!!」とおかしくてたまらず、友人と笑った。

初日からビギナーズラックというわけにはいかなかったが、機会があるたびに友人や夫と競馬を楽しみ、次第にひとりでも楽しむようになった。

妊娠中で心身の自由が利かなくなる中で、どんなに体調不良でも、家族が友人と遅くまで飲みに出掛けていても、横たわりながらネット購入できる。
相性がよすぎて、悪すぎたのだ。

400円が26万円になったこともあった。
わが家の愛猫「琥珀(こはく)」にちなんだ、5,8,9の馬番だ。

あっという間に脳の報酬系の回路ができあがり、「なにかしらの理由」をつけて馬券を買いたくなるまで、そう時間はかからなかった。

もっとも、競馬だけが特別だったわけではない。
思い返せば、昔からいろんな物事にハマりやすい性分だった。

スマホゲームはミッションを片っ端からこなさないと気が済まず、時間を溶かしてしまう。
リーダーの日に深夜の措置入院を引き当てると「これは当たるかもしれない」と、夜勤明けに宝くじを買う。
最近だと、子どもとゲーセンの前を通るだけで心身が疼いてしまい、小銭の残数を確認することもある。

いい習慣もわるい習慣も定着しやすい。
要するに、すぐに刺激へ飛びついてしまい、かつこだわりが強い性分なのだ。

昔から「やりたいことがない時期」がなかった。
あれもしたい。これもしたい。あの習い事や仕事も魅力的だ。こんなこともできたら格好いい。

はたして、一度きりの人生で欲を満たしきれるのか。こんな刺激的な人生、一度きりで勘弁だ。

現状把握

ここで競馬アプリを開いて、数字を確認してみる。

【オッズパーク】
2024年1月〜2026年6月
マイナス80,070円

【即PAT】
2025年〜2026年
マイナス68,600円

そう。ここ2年半で14万円マイナスなのだ。
ひと月でいうと約5,000円。

金額だけみれば趣味の範疇かもしれない。
というのも、服や化粧品を買い替えることが普段ほとんどない。
化粧品はディスカウントストアで数十円〜数百円、今着ているワンピースは2,000円だ。
食材も半額を狙っては冷凍し、育児中は交際費も自然と減る。最近の個人的な出費といえば、本と花を買うくらいだろうか。

5,000円で自分を奮い立たせてここまでこられたのだと思うと、決して高い金額ではないように思う。
「負け」という表現も、自分の中ではしっくりこない。「マイナス」と伝えるのが最適だ。
プリンを買って食べて満足したように、馬券を買って満足していたのだ。
「あ〜ドキドキした、楽しかった」と。

購入頻度こそ高いものの、一度に大金を賭けることがないため、はずれても大きく落ち込むことはなかった。

「まぁ、そりゃそうだわな」
「まず当たらないような、高配当の馬券しか買ってないからね」

そんな感想だ。
わざわざこんな振り返りをする必要はないのではないか。書きながら何度もそう思った。

だが、問題は金額ではない。
競馬のことを考えていた時間。
子どもに「ちょっと待って」と言った回数。
どれだけ脳の容量と時間を、競馬が占めていたか。

そこのコントロール感を取り戻したかった。

看護計画

改めて確認しておくと、わたしはギャンブル依存症と診断されたわけではない。未受診だ。
生活や人間関係が大きく破綻しているわけでも、受診の必要性を感じたことがあるわけでもない。

まだない。

ただ、依存症の恐ろしさを、自分の危うさを重々承知している。取り返しのつかないことになってしまう前に、依存症治療で学んだ考え方を自分自身に試してみよう。そう思い立ったまでだ。

今月から子どもの初めての習い事が始まったこともあり、ちょうどいい機会だと思った。
競馬を控えるのはいつでもできることではあるが、きっかけと理由があるに越したことはない。
欲に忠実な自分にとって、大きな支えとなってくれるはずだ。

そこで、下記のルールを定めた。

【セルフケア期間】
2026年6月22日(月)〜7月7日(火)の16日間

【マイルール】
❶「競馬アプリを開きそうになったら、すかさず10ページ読書する」

なぜなら、積読本がすさまじい。
仕組み化してしまえば、ルーチンをこなすのは得意だ。飽き性でもあるので持続力に欠けるが、16日間ならいけるだろう。
なんて最高なルール。一石何鳥になるんだこれ。

❷「競馬をやめなくてもよい、してもよい」

これは依存症治療の現場で用いられる「ハーム・リダクション」という考え方だ。
依存対象を完全に断ち切るのではなく、害(=ハーム)を減らしながら、ほどよい距離でお付き合いする。

購入頻度、一度の購入金額、賭けるレースの判断基準など、マイルールを決めておくとよい。
今回はそこまでガッチガチにルールを固めることなく、まずはゆるりと始めて様子を見ることにした。

16日間の看護記録

6/22(月)

【18:20】
子どもの習い事が終わり、夕食準備のときに思い浮かぶ。自分を鼓舞しようと、この時間帯にアプリを開くことが多いのだ。
子どもたちにテレビを見て待ってもらいながら、すかさず読書。

なんだこれは。チョー気持ちいい。
北島康介選手もこんな気分だったのか。
普段からこうしていたら、積読とおさらばできるのでは。
もはや読書をしたいがために、競馬のことを考えようかと思うほどだ。

「思い浮かんだら読む」という基準では、本を読み進めたいがために、本末転倒で競馬のことを考えようとしてしまう。そんな自分がいることに気が付いた。

依存行動にも段階があり、その様はグラデーションである。
競馬が思い浮かぶ、アプリを開く、気になるレースを開く、オッズを確認して買い目を決める、購入画面に進む……と。
今回は「競馬アプリを無意識に開きそうになったら」を基準にしてみよう。

そんなことを考えているうちに、「もし思い浮かばない日があったらどうしよう」と思った。それでは書くことがなくなるではないかと。

ばかタレぇ!それなら「思い浮かばなかった」と書けばいい。なんて愚かな心配をしてるんだ。

書くために無理にでもネタを作ろうとしているのではない。このネタのようなどうしようもない生活を、自分と誰かの「救い」として昇華するために書いているのだ。

【20:00】
子どもと絵本を読む。これは日課だ。
「そろそろお風呂」と思ったとき、ふとアプリを開きそうになった。
欲求の強さは大したことなかったが、普段このタイミングで馬券を買うことが多い。
子ども2人をお風呂に入れて、入浴後に息子の全身にアトピーの薬を塗って……というのは、なかなかの労力だ。

脱衣所でアプリを開くことのないよう、リビングにいるうちに予防的に読書しておいた。
なんやねん、予防的に読書って。頓服かよ。
いや、頓服だよ。これは健康的な頓服だ。

【20:40】
脱衣所でふとアプリを開く。名古屋の最終レースに間に合うな。あっ、子どもが寝ついてから読書。

朝と夕方以降の育児の大変さはあったものの、今日は仕事が順調で、子どもの習い事の付き添いをし、ご飯を作り置くという「目に見えやすい成果」があって満たされていた。

6/23(火)

【17:30】
保育園へお迎えに行く途中の曲がり角、ふと頭をよぎった。今まで何度も、この曲がり角で購入したことがある。この場所が引き金の一つなのだと気付いた。
アプリを開く気にはならないけど、せっかくだから帰宅したら読書を。

【18:40】
子どもたちと夕食。
テレビをつけながらだと、娘は食べ進みが悪い。そりゃそうだ。まだ4歳だから、物事を同時に行うのがむずかしい。

それならテレビを消せばいいだけの話だが、なんせわたしがテレビを見たい。我慢できていないのは母だ。
仕事後のおかあさんといっしょ→みいつけた→ピタゴラスイッチ→忍たま乱太郎の流れに癒やされるんだって。

自分でテレビを消さない選択をしているのに、そのくせなかなかご飯を食べない娘にイラッときて、ふと競馬がよぎる。愚かすぎる。

育児の節々で、どれだけ競馬に支えられてきたのか。改めてそう感じた。すかさず読書。

6/24(水)

【16:00】
カウンセリング業務後、ふと「人に勧めておいて自分でやらないのはどうなんだ」と、オッズパークのアプリをアンインストールしようと思い立つ。

残高を口座に出金。よしアンインストール。バイバイ地方競馬。特に高知ファイナルレースにはお世話になった。ありがとう高知、いつか行くよ。行かないかもしれんけど。

【18:55】
子どもとの夕食中、ピロン♪とnetkeibaのレース速報のバナーが。誰だよ設定したの。すぐさま設定変更。

【22:00】
子どもが寝付いてから、夫に「朗報!オッズパーク退会したんだが!」と伝える。

「えらいじゃん。どうしても辛いときにとっておかなくていいの?」
「どうしようもないときは即PATでも買えるし、我慢できるうちはいいのいいの」

そんなやりとりをして安心した。すっきり。
なんて理解のある夫なんだ。何度でも結婚しよう。

6/25(木)

仕事を終え、息子2歳の誕生日を祝う。
お寿司とケーキを平らげ、21時半に子どもたちと寝落ち。競馬?なんですかそれ。

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6/26(金)

夫婦ともに在宅ワークだったため、夫とラブラブランチ。
週末のレースの話になりアプリを開いたが、馬券を買いたい欲求がわくことなく終了。

6/27(土)

【7:30】
起床。土曜かぁ。競馬どうしようかなぁ。

【10:30】
あー、どうしようかなぁ。
気になるレースを買ったつもりで予想だけしておこう。どうせはずれてるから。(はずれてた)

【10:50】
部屋にいたクモを退治。
実はGよりもクモのほうが苦手だ。
夫にお願いしてもよかったが、普段大したことをできてないから、たまには家に貢献しておこうかと。

娘の「ママすごーい!」の拍手に、「これは競馬してもいいくらいの働きをしたのでは?」とよぎる。
いかんいかん。これだから競馬脳は。

【13:00】
お昼寝の寝かしつけ。
「早く寝ついてくれないかなぁ、本読みたいんだけどなぁ」と思いながら、競馬アプリを開く。
久しぶりに買ってみるかと、明日の函館記念を300円購入。

【15:00】
テレビで競馬番組を視聴。
予想だけして結果を見ると、見事にはずれている。
「買わなくてよかった〜〜〜!」と予想がはずれることを喜ぶ、ヘルシーな遊びをした。

……!!!

ここで大発見をするわたし。
「予想がはずれることに賭ける」というギャンブルを楽しむこともできるのか。

仮に予想が当たっていたらうめき声をあげるだろうが、それでも負けることはない。
次のステージに進むには、「勝つこと」よりも「負けないこと」が大切だと、我々はサッカーW杯から学んだはずだ。

【18:20】
家族でココスへ。
ドバイチョコかき氷に「ドバイ……⁉︎」と反応。
これだから競馬脳は。なんとこの女、海外競馬にも手を出していたのだ。

数年ぶりに、ふわふわのかき氷を食べた。
明日のレースを300円分購入しているが、まだ今日は負けちゃいない。
そんなクリーンでヘルシーな状態で食べるかき氷は、とてもおいしかった。いや、仮に負けていたとしても、かき氷は等しくおいしい。

【20:50】
子どもの寝かしつけ。
気分転換に最終レースの予想だけして結果を見ると、はずれている。よし勝った!(勝ってない)

6/28(日)

【11:40】
今日どうしようかなぁ。昨日300円買ったんだよなぁ。あと200円くらい買っちゃう?
と自問自答しながら、家族と商店街で買い物。集中せい。

【13:40】
子どもたちとお昼寝。
早く寝てくれ〜、大人だけの時間をくれ〜。
しびれを切らして競馬アプリを開く。

「親がスマホなんて使ってっから寝ないんだろ」
みなさんきっとそう思うことでしょう。
使ってなくても寝ないもんは寝ないから、母は諦めて自分の好きなことをするぞ。
穏やかな気持ちで家族円満に過ごせるのなら、多少スマホを使ったっていいだろう。

【15:00】
テレビで競馬番組を視聴。
土日のこの時間は、紛れもなくトリガーの一つだ。

レースを観ていると、どうやら小林騎手が重賞初制覇だそうだ。もうそれだけで、観てよかったなと思う。
オカルト馬券師ではあるものの、競馬の歴史やストーリーには惹かれるものがある。
人の夢が叶う瞬間、仕事で成功する瞬間に立ち会えるのは貴重だ。いい日曜日になった。

ところで、この期間中のルールを覚えているだろうか。

<競馬アプリを開きそうになったら、すかさず10ページ読書する>
これだ。

ここまできちんと実践して、といってもすかさず読めないことも多かったが、押せ押せになりながらも順調に読み進めていた。
だが、今日になって「日曜日でゆっくりしたいから」という、理由にもなっていない理由を言い訳に、読書をしなかった。

白状すると、あまりにも競馬を思い浮かべる頻度が高く、その度に読書をするのがめんどうになってきたのだ。だいすきな読書ではあるが、読みたい気分のときに読みたい。
そこで、すかさず10ページ読書はやめることにした。16日間も続かなかった。

誰とも約束していないマイルールに縛られて、なかなかやめられない行動があったり、かと思えばマイルールをすぐに破って物事が続かなかったり。
こういう奴なのだ。つくづく情けない。

6/29(月)

【9:00】
娘が発熱で保育園欠席。
「なにをご褒美に一日乗り切ろうかな……」と、ふと競馬が頭をよぎる。

【15:35】
まだこんな時間かぁ。先が長いなぁ。
やっぱり、ふと競馬が思い浮かぶ。
アプリを開いて確認すると、今日はnetkeibaアプリでは買えない日のようだ。オッズパークは退会したのでなす術なし。安心した。グッジョブ数日前の自分。

6/30(火)

【17:30】
仕事帰りにふと競馬が思い浮かぶ。
夫の帰りは21時頃かな。
ここからどうやって寝かしつけまで乗り切ろう。コンビニスイーツでも買ってしまおうか。

乗り切るといっても、ご飯はあげるだけの状態になっている。夫が昨夜、パスタを作り置いてくれた。
夫のためにも、買わないで乗り切ろう。
読書だ読書。いや、今日は短歌だ短歌。公募の締切だ。

結局21時台に子どもたちと寝落ちて、競馬をすることも、公募のラストスパートをかけることもなく終えた。

7/1(水)

【18:40】
子どもたちと夕食。
長芋のふわとろオーブン焼きを作った。
半分まで食べたところで、娘が床に皿を落としてしまった。わざとではない。
だが、「遊びながら食べないようにね」とくり返し伝えていたこともあり、そら見たことかと苛立った。
怒鳴り散らすわけにもいかない。ただ悲しい。

「よそ見してたらぶつかっちゃうね。一緒に片付けよっか」と、深呼吸をしてから静かに伝える。

気持ちを沈めるために、ふと競馬をしたくなった。
本当にくだらない。こんなんで競馬をしてたらキリがない。
それでも、100円で気が済むならとアプリを開く。

大井競馬の10レースを開くと、出馬表に「メンタイマヨ」という競走馬の名前がある。
おいしそうな名前だな、おい。なんか急に力が抜けたわ。
ありがとう、メンタイマヨ。

どうやら最近のレースでは勝っていないらしい。
応援するか。負けたっていい。というか、勝ちたくて買っているわけじゃない。じゃあなぜ買うのかって?これで気が済むからさ。
お布施のつもりで、複勝100円購入。

結果、はずれ。
でも、子どもに怒鳴ることなく事を終えた。そう思うと負けてはいない。気付けば娘はピアノを弾いている。そろそろお風呂の準備するか。

7/2(木)

【17:30】
ふと競馬が思い浮かんだ。
やはり保育園のお迎えは、トリガーのひとつだ。

7/3(金)

【21:20】
子どもの寝かしつけ中。
ふと「最終レース間に合うか?」と頭をよぎったが、もう過ぎている。買わずに済んで安堵。

7/4(土)

【11:00】
お昼かぁ、そろそろチェックしておくかぁと、ふと思い浮かぶ。今日はこれといった大きなレースはないし、買わないでいっか。
土日なのに買わない日はいつぶりだろうか。
いや、まだ今日は終わっていないから、どうなるのかわからないが。

【12:00】
外食。うどん屋さんで大盛り(3玉)を注文し、義母仰天。昔から食欲も旺盛で、ドカ盛りチャレンジや食べ放題に目がない。
あらゆる衝動に駆られる性分なのだと、つくづく自分を思い知らされる。

夜は家族と友人と夏祭り。ふと時計を見たら21時を過ぎており、今日も買わずに済んだ。

7/5(日)

【11:30】
ふと思い出してアプリを開く。
GⅢレースだし、今日は買ってみようかな。
ワイドBOXを300円、なかなか来ないだろう穴馬たち。
「買っちゃった……」というマイナスな感情はなく、わくわくしながら結果を待つ自分がいる。

【15:50】
家族で出掛けて、ひまわりをお持ち帰り。
ふと時間を確認するともうレースが終わっている。結果、はずれ。
でも楽しかったし、買ってよかった。

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7/6(月)

【20:40】
なんと今日、2歳息子が人生初パンツで過ごした。
保育園の先生方には頭があがらない。
こりゃめでたい、競馬してもいいんじゃないかという気持ちになった。

……いや、おまえがするのは息子とのハグだ。
もう十分したけど、ハグは何度したっていい。
馬券を買ってる暇があるなら、1秒でも長くハグをしろ。
そう思いつつ結局アプリを開くと、本日は購入できない日だった。あぶないあぶない。

7/7(火)

【7:30】
実験期間の最終日。
なんと今日は、5回目の結婚記念日なのだ。
おめでたい。こりゃ馬券を買ってもいいかもしれない……わけあるか。これだから競馬脳は。すぐに買う理由を探す。

くり返しにはなるが、今回の目的は競馬を0にすることではない。
楽しいと感じる範囲で楽しみ、漫然と購入することをやめる。害と感じながら購入することをやめることだ。
そういう意味では、今日は久しぶりに楽しんでもいいかもしれない。そう思った朝7時半。夜にアプリを開いてみるか。

……いや、待てよ。お花を買おう。
最近、お花を買うのがマイブームだ。
結婚記念日にお花、最高じゃないか。
競馬に使う数百円を、思い出に残るものに、育ててゆくものに預けよう。

ケーキを買ったっていい。
なんたって今日は記念日だから。

そう思った途端、競馬欲がなくなった。
まだ朝だからわからないが、夜までこの気持ちでいられますように。彦星さまと織姫さまに願っておく。来年はもっと他のことを祈りたい。

【7:40】
朝から2歳息子がトイレに成功。
快挙だ。国をあげて祝おう。
おめでたいから今日は馬券を買っても……花!ケーキ!

あぶないあぶない。
さっき決意を固めてからまだ10分だぞ。
こんなこと書いてないで、さっさと準備して仕事行きんしゃい。

【17:40】
保育園に子どもたちを迎えに行き、行きつけの花屋に立ち寄る。1,200円のエバーフレッシュと目が合う。
いつまでもフレッシュな気持ちでいるのは難しいが、時折そんな気持ちを思い出せるようにと購入。

花言葉は「歓喜」「胸のときめき」

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馬券を買うなら、花を買え……?

結果発表〜〜〜〜〜!!!

購入金額:マイナス700円
購入回数:3回
購入前の感情:イライラ、わくわく
購入後の感情:悔いなし、楽しかった
購入場所:いずれも自宅
購入時間:平日夜、土日の日中

こんなところだ。
ものすごく充実感と自己効力感があり、ほどよい距離で競馬を楽しめた。というのが率直な感想だ。

競馬とほどよい距離で、手綱を握りながら日々を乗りこなすことができた。

依存症治療の基本は、
・「強い意志でやめられるようなものではない」と理解すること
・依存対象と物理的に距離をとる環境を整え、定めたルールを守ること
・人との対話を通じて、自分をよりよく知ること
これに尽きる。

馬券を買うなら、花を買え。
そのほうがよっぽど武豊な、失礼間違えました、豊かな生活になる。
当初は自分にそう言い聞かせようと思ったが、本質はそこではない。

結局のところ、「いちいち花を買わないと頑張れない自分」を生み出してしまうようでは、依存対象が移ろうだけにすぎない。

確かにわたしは、競馬を拠り所にしている。
そしてこの先も、仕事のたびにカルテで「競馬」の文字列を見ることになるだろう。
刺激を完全には避けられないのだから、まったくどうしたものか。

ところで今、セブンイレブンで買った中本の蒙古タンメンを食しながら、この文章を書いている。
最近、どうにも眠くてたまらないのだ。
子どもを寝かしつけたあとに何かをやろうとしても、起きて椅子に座っているのが精一杯だ。
辛味という物理攻撃を加えたらさすがに起きていられるだろうと、深夜に汗をかきながら啜っている。生卵を入れるとなお美味しい。

それも、2日連続だ。
買い溜めしていたわけではなく、昨日と同じ動線でセブンイレブンへ行き、キッチンでなんのためらいもなくお湯を入れる。まったくけしからん。

でも、書きたいことがあるのだから仕方がない。
眠気を覚ますには、どうしてもこいつが必要だ。
決して食いしん坊だからではない。
誤解を招かないように伝えておくが、これは眠気覚ましだ。

きっと、今後も度々買うことになるだろう。
決して食いしん坊だからではない。
深夜に背徳メシを食べたいわけでも、辛いものチャレンジをして快の感情を得たいわけでもなく、眠気を覚ましてやりたいことに取り組むために必要だからだ。

……と思いたい。

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